きそ、久しぶり

新沼希空

悲しい出来事があり、俺は落ち込んでいた。
体調が悪くなり、いつもより少し体温も高い気がする。
微熱があるかもしれない。

Twitterのタイムラインをボーっと見ていたら、見覚えのある犬の写真が流れてきた。

チャリコハ

浅倉樹々ちゃんの愛犬、琥珀だ。
「相変わらずかわいいなぁ~俺もわんちゃんに癒やされたい気分だよ」
そう思いながらブログを読んでいると、最後のほうに告知が書かれていた。

明日は仙台

その次の日は盛岡にてライブハウスツアー
楽しい土日にしましょ〜ニヤニヤハート

「明日ライブがあるのか…いつまでも落ち込んでいても仕方ないし行ってみようなかな。頑張れば夜公演には間に合うかもしれない。」

当日券情報が見つからなかったので某所を覗いてみる。
前日だったこともあり定価割れしているチケットもあった。

「よし、行こう」

ひとりで行くのは寂しかったので、以前交流したことのある、女ヲタ(美少女)を誘った。
高校1年生のマリナちゃん(仮名)という女の子だ。

翌日、マリナちゃんと雑炊屋で待ち合わせをした。

俺「お、久しぶり!9月の研修生発表会以来だね!」
マリナ「はい!今日はライブ楽しみましょうね~」
俺「(マリナちゃんまた可愛くなったな…)」

マリナちゃんは秋山眞緒ちゃんの大ファン。ダンスをやっていて、ダンスが得意なまおぴんを尊敬しているのだそうです。

俺「さて、グッズ買いに行こうか!」
マリナ「うーん買いたいけど、今月おこずかいが少なくて…」
俺「そんなの俺が出すよ!任せてくれ!」

マリナちゃんにまおぴんの日替わりを買ってあげた。
とても喜んでくれた。

次にマリナちゃん貢げるのはいつだろう。
もう一切貢げる機会がなくなりそうな予感がする。

番号を呼ばれ、会場に入る。

俺「終わったら会場の外でね」
マリナ「はーい」

マリナちゃんは女限エリアに行った。
俺は背の小さい黄緑Tシャツを着た男性のうしろにポジションを確保した。結構後ろのほうだったが。
キンブレの点灯確認をする。Hot Button(推し色ボタン)は1年以上オレンジ色に固定してある。
今日はライトブルーを振る予定だ。

ライブが始まる。

1曲目は『可能性のコンチェルト』
アップテンポで格好いい新曲だ。
初めて見る19歳のきそちゃん。
とても大人っぽかった。というか普通に大人だった。

2曲目は『低温火傷』
「気づいたときにはもう遅すぎる」
この歌詞を聞いた瞬間、俺の心がジリジリしてきた。
今の俺は低温火傷どころが、全身大やけどだ。

間奏でハーフツインを乱しながらカッコよく踊るきそちゃん。
そんな姿を見ていると、つらいことも少し忘れられる気がした。

なかなか声を出す気にはなれず、それまではただキンブレを振っているだけだった。
でも『ハナモヨウ』で勇気を出して「きそらコール」をしてみた。
すると、すごく晴れやかな気持ちになった。
きそちゃんの名前を大声で叫んだのは久々だ。
あの子の名前も、もっとたくさん叫びたかったな…

次はハロプロ20週年曲『YEAH YEAH YEAH』
9月の研修生発表会でも披露していた。
その研修生発表会であの子は、綺麗なピアノが流れる間奏で、美しく華麗に踊っていた。
今日のステージにはいるはずもないのに、緑色の衣装を着た姿があの子の姿が浮かんで見える。
俺は古参アピールのために持ってきたNewFes赤つばきタオルで涙を拭いた。

『独り占め』この曲はつばきファクトリーのなかで一番好きな曲。
きそちゃんの今にも泣き出してしまいそうなほどに切ない表情。
か細いのに、しっかりとした芯のある歌声。
しなやかで華のあるダンス。
俺はこの曲が好きだったのではなく、この曲のきそちゃんが好きなのかもしれない。
フルで聴きたかったな。

『心の叫びを歌にしてみた』で横のメンバーとニヤニヤしながらアイコンタクトをしているきそちゃん。
歯を見せて笑っていて可愛かったな~
歌詞を口ずさみなから楽しそうに踊っていました。

最後のほうは『ハッピークラッカー』『今夜だけ浮かれたかった』など盛り上がる曲が多く楽しかったです。
もう悲しい気持ちは消え、汗をかきながらサンライズジャンプをしておりました。
ライブ中、俺が見ていたのは99%きそちゃん。
昔に比べ、ニヤニヤとした子供っぽい表情は少なくなったが、その分大人っぽくセクシーな表情が多くなり、いい女の雰囲気を醸し出していた。
まぁそれでも俺は笑ったきそちゃんが好きだけど。

ライブが終わり、握手会まで少し時間が空いた。
いつもは握手をせずさっさと帰ることが多かったが、今日は握手会に参加することにした。
推しと一生握手できない運命になるのはもう御免だからだ。

きそちゃんと最後に握手をしたのは2017年2月22日。
「メジャーデビューおめでとう」を言った以来だった。

浅倉樹々 FSK
(きそちゃんのFSKは人気で売り切れたから持ってない)

なにを話そうか迷ったが、今年はバースデーイベントも行かなかったし「誕生日おめでとう」を言うことに決めた。
久しぶりだったので、めちゃくちゃ緊張した。

最初のほうにさおりんがいた。

俺「楽しかったで…(痛い!)」
小野田「ありがとうございます!」
前よりも、握力が強くなっていたのではないか。

最後から三番目くらいに樹々ちゃんがいて、そのあとにきそちゃんがいた。
俺は頭が真っ白になった。

俺「たのしか…」
浅倉「ありがとうございます!」

間髪入れずきそちゃんと握手

新沼「◎△$♪◎」
俺「えっ?」

緊張しすぎて何を言っているのか聞き取れなかった。

新沼「久しぶりー」
俺「え、あぁ…」

渋谷のギャルが気だるそうに友達に挨拶する感じでそう言われた。

新沼希空

「久しぶり?」

なぜ久しぶりとわかったのか??
たしかに握手するのは619日ぶりだ。あの子の研修生在籍期間よりも長い。
俺はきそちゃんに認知されていたのか??

メジャーデビュー前、何度か握手会に行ったことはある。
でも数は少なかったしループもしたことがない。
会話も「かわいいですね」や「楽しかったです」とかばかりだ。

メジャーデビューしてから鬼のように接触イベントがあったが一度も参加してない。
そんな昔のヲタを普通覚えているものなのか?

俺はデビュー後に応援しなくなってしまったゴミだ。
口では「デビューしてほしい」なんて言っているが、最後までついていかない量産型のゴミだ。
なのに、なぜきそちゃんはそんなゴミに声をかけてくれたのか?
しかも、この日は私服で参戦してたし、後ろのほうにいたので見えていなかったはず。
接触スキルが上がると高速握手会で瞬時にヲタを見分けることができるようになるのか?

きそちゃん…

スルーしてくれたら、こんな気持ちにならなかったのに…

うーん…

人が傷心してるときにそんな言葉をかけてくれるなんて卑怯だよ。

また好きになっちゃうじゃん。

でもすごく嬉しかった。

現場には行ってなかったけど、ブログは毎日読んでいたんだよ。
コメントはしてなかったけどね。

あぁ今日の盛岡のライブも行きたかったな。
盛岡といえば2年前のクリスマスイブを思い出すよ。
あの頃も楽しかったな。

落ち込んでいたけど、きそちゃんのおかげで元気になったよ!

ありがとう!

そして、ごめんなさい。

きそちゃんにまた早く会いたいです…

新沼希空

握手が終わってからしばらくドキドキが止まらなかったが、会場の外の銀杏の香りを嗅いでやっと冷静になれた。

「あれ?一緒に来たマリナちゃんはどこいった?」

だが、どこを探してもいなかった。

マリナちゃん(T_T)

もしかしてマリナちゃんは妖精だったのかな?

こうしてライブや握手会を楽しめたのも、彼女のおかげだったかもしれない。

P.S.キソラーン

きそちゃん、ヲタクってチョロいよな。